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青色申告するなら絶対65万円控除を受けたい!10万円控除との申告方法の違い

青色申告の申請書も出したし、帳簿も付けて来年の確定申告にはしっかり所得控除してもらおうとお考えの方もいるかもしれませんが、

青色申告には10万円控除と65万円控除の2つがあるのはご存知ですか?

これは文字通り、売上から経費を引いた『利益』から差し引ける金額が、10万円か65万円かのどちらかになるというものです。

当然65万円を差し引いたほうが税金は安くなるのでお得なのですが、65万円控除は10万円控除に比べて“しなければならないこと”が多くなります。

青色申告が認められたら自動的に65万円の所得控除を受けられると、まだ青色申告をしたことが無い人は思っていたかもしれませんが、要件を充たさないと65万円ではなく、10万円の控除額となります。

ここでは、65万円控除を受けるためにはどうすればいいかを見ていきましょう。

ポイントは1にも2にも帳簿付けです、せっかく青色申告をするのですから満額65万円の控除を受けたいですよね

 

◆帳簿付けのしかたと10万円控除、65万円控除の関係

青色申告で65万円控除を受けるためには、主に次の3つの要件があります。

 

①正規の簿記の原則、いわゆる複式簿記で帳簿付けすること

②損益計算書だけでなく貸借対照表も作成すること

③申告期限までに確定申告書を提出すること

 

複式簿記以外(単式簿記)で帳簿付けしたり、複式簿記で帳簿付けしても申告期限を過ぎてから確定申告を提出すると10万円控除しかできません。

それでは、次から複式簿記の記帳方法を見ていきます。

 

1) 複式簿記の記帳内容

売上や仕入、経費などの取引は帳簿に記載しないといけません。65万円控除の場合は原則、複式簿記で帳簿つけします。

記載すべき内容は以下のとおりです。

・いつ…   取引の年月日

・誰に…   売上先や仕入先などの名称

・何を…   販売や購入した商品名など

・何を使って…現金や普通預金などの取引手段

・いくらで… その金額

 

2) 複式簿記の記帳方法

複式簿記は「何を」「何を使って」をきちんと記帳する処理方法です。

つまり何の目的でお金が動き、そのお金が何の取引手段(現金や普通預金など)を使っているのかを記帳するのです。

 

例)1月20日にA商店に商品300,000円を現金で販売した

  2月10日にB商店から仕入商品150,000円を普通預金で購入した

 3月20日に本棚90,000円を現金で購入した。

4月15日に電気代10,000円を普通預金で支払った


 

 複式簿記の方法で記帳すると以下のようになります。

日付

借方科目

金額

貸方科目

金額

摘要

1月20日

現金

300,000円

売上高

300,000円

A商店

2月10日

仕入高

150,000円

普通預金

150,000円

B商店

3月20日

消耗品費

90,000円

現金

90,000円

本棚

4月15日

水道光熱費

10,000円

普通預金

10,000円

電気代


 

65万円控除の要件の1つに「損益計算書だけでなく貸借対照表も作成すること」があります。貸借対照表とは、現金などの資産や借入金などの負債の科目の残高を表にしたものです。そのため複式簿記では、売上や仕入などの損益の科目だけでなく、現金などの資産や借入金などの負債の科目も記載し、後で表にできるようにします。


 

◆65万円控除を受けるために作成・保存が必要な帳簿書類とその保存期間

青色申告で65万円の控除を受ける為には帳簿付けは複式簿記でおこない、資産や負債も把握することを見てきました。

次に「どのような帳簿書類を作成・保存し、何年保存しなくてはならないか」について見ていきます。

 

税務署に確定申告書を提出するときには、その計算の基となる帳簿や書類は一緒に提出しません。そのため、各自で保存しておく必要があります。

 

帳簿書類とその保存期間は以下になります。

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年(※)
その他の書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分所得が300万円以下の場合は、5年でよい


 

帳簿は、複式簿記という記帳方法で売上や仕入、経費などの取引を記載したもの。書類は帳簿に取引を記載する際の元となったもので、年度末の棚卸をしたときに記載する棚卸表や、請求書・領収書などです。

書類については取引先等との日常の取引の中で発行されるものです。

帳簿については日常の取引の中では作られず、65万円控除を受けるために作成するものです。

その帳簿について詳しく見ていきましょう。

 

①仕訳帳

1つ1つの仕訳を日付順に借方、貸方で記載した帳簿。先に示した複式簿記の記載例が、仕訳帳の様式です。

②総勘定元帳

すべての取引を勘定科目ごとに、日付順で記載したものです。その勘定科目の動きと残高などを確認します。

総勘定元帳は次のような様式になります。


 

                現     金

月日

相手勘定科目

摘要

借方

貸方

残高

1

20

売上高

A商店

300,000

 

300,000

3

20

消耗品費

本棚

 

90,000

210,000

 

 

 

 

 

 

 


 

③現金出納帳

現金を使ったすべての取引を日付順で記載したものです。現金の動きと残高などを確認します。

例えば次のような様式です。

 

               現 金 出 納 帳

月日

相手勘定科目

摘要

入金

出金

残高

1

20

売上高

A商店

300,000

 

300,000

3

20

消耗品費

本棚

 

90,000

210,000

 

 

 

 

 

 

 

 

④売掛帳

売掛金を使ったすべての取引を得意先ごとに、日付順で記載したものです。得意先ごとの売掛金の動きと残高などを確認します。

ここで、売掛金について少し解説しましょう。

先に見たとおり、確定申告では発生主義が基本です。そのため商品を購入者に引き渡した時に、売上で帳簿付けします。

現金商売の場合は現金と引き換えに商品を引き渡すことが多いですが、例えば卸売業などは、多くの場合、商品を引き渡した日と代金の入金日が異なります。

そのとき「商品を引き渡したが、代金は未回収だよ」ということを表す勘定科目が「売掛金」です。


例)1月10日 A商店に150,000円の商品を引き渡した。代金は翌月振り込まれる。

2月20日 上記商品代金150,000円がA商店から普通預金に入金された。


仕訳帳では、以下のようになります。

日付

借方科目

金額

貸方科目

金額

摘要

1月10日

売掛金

150,000

売上高

150,000

A商店

2月20日

普通預金

150,000

売掛金

150,000

A商店

 

 

 

 

 

 


売掛帳では、例えば次のような様式です。

 

               売 掛 帳

A商店

月日

相手勘定科目

摘要

売上

入金

残高

1

10

売上高

C商品の販売

150,000

 

150,000

2

20

普通預金

販売代金の回収

 

150,000

   0

 

 

 

 

 

 

 

 

買掛帳

買掛金を使ったすべての取引を相手先ごとに、日付順で記載したものです。相手先ごとの買掛金の動きと残高などを確認します。

買掛金は売掛金の逆で支払いのケースです。

商品の引き渡しを受けた時に、仕入で帳簿付けをします。

商品の引き渡しを受けた日と代金の支払日が違う場合に、「商品を引き渡しを受けたが、代金は支払未だよ」ということを表す勘定科目が「買掛金」です。


例)2月10日 B商店から120,000円の商品を購入した。代金は翌月支払う。

3月10日 上記商品代金120,000円をB商店に普通預金から支払った。


仕訳帳では、以下の仕訳です。

日付

借方科目

金額

貸方科目

金額

摘要

2月10日

仕入高

120,000

買掛金

120,000

B商店

3月10日

買掛金

120,000

普通預金

120,000

B商店

 

 

 

 

 

 


買掛帳では、例えば次のような様式です。

               買 掛 帳

B商店

月日

相手勘定科目

摘要

支払

仕入

残高

2

10

仕入高

D商品の購入

 

120,000

120,000

3

10

普通預金

購入代金の支払

120,000

 

   0

 

 

 

 

 

 

 

 

経費帳

すべての経費の取引を勘定科目ごとに、日付順で記載したものです。その勘定科目の動きと残高などを確認します。

例えば次のような様式です。


               消 耗 品 費

月日

相手勘定科目

摘要

金額

残高

1

10

現金

いす、机

60,000

60,000

3

20

現金

プリンター

20,000

80,000

 

 

 

 

 

 


 

※紹介した帳簿の様式はあくまで一例です。使っている会計ソフトや市販の帳面では違う場合もあります。


 

◆10万円控除の帳簿について

10万円控除についても少し触れておきましょう。

10万円控除は65万円控除と違い、簡易帳簿を記帳し保存すればよいことになっています。

簡易帳簿とは、①現金出納帳、②売掛帳、③買掛帳、④経費帳、⑤固定資産台帳の5つです。

65万円控除と違い、仕訳帳や総勘定元帳を記帳する必要がありません。そのため、普通預金に銀行から融資(借入金)を受けた場合など、仕訳帳にしか記載されない仕訳が記帳できません。資産や負債が管理できず、貸借対照表が作成できないため、65万円控除が受けられず10万円控除になります。

帳簿や書類の保存期間は65万円控除の場合と同じです。

 

◆現金主義と発生主義

青色申告の10万円控除と65万円控除の大きな違い。それは求められる帳簿の種類とその付け方ということが分かりました。

この帳簿の付け方について、理解しておきたいポイントがあります。

帳簿の付け方は「売上や経費をどの時点で帳簿に付けるか」と点で2つに分かれます。それぞれ発生主義現金主義と言われています。

最後にこの2つの考え方について押さえておきましょう

 

①現金主義

現金主義とは、現金を受け取ったときや支払ったときに売上や経費を帳簿に付ける方法です。

飲食店を例にとってみましょう。材料はその都度スーパーで現金で購入し、食事を提供後すぐにレジで現金を受け取ります。

この場合は、材料をスーパーで購入したときに現金を支払っているので「仕入」で帳簿付けしますし、食事を提供したときに現金を受け取っているので「売上」で帳簿付けします。

次に、卸売業の場合を見てみましょう。

1月31日に取引先から商品を仕入れ、2月10日に現金で支払いました。その商品を2月20日に得意先に販売し、3月10日に現金を受け取りました。

この場合、現金を支払ったのは2月10日なので、2月10日に「仕入」で帳簿付けします。また、現金を受け取ったのは3月10日なので、3月10日に「売上」で帳簿付けします。

あくまで現金が動いたときに帳簿付けするのが現金主義です。

 

②発生主義

発生主義とは、現金主義と違い現金ではなく、商品を引き渡したときや受け取ったときに売上や経費を帳簿付けする方法です。

上記の例でいうと、飲食店の場合は材料をスーパーで購入したときに商品を受け取っているので「仕入」で帳簿付けしますし、食事を提供したときに商品を引き渡しているので「売上」で帳簿付けします。結果的には、現金主義と同じときに帳簿付けします。

 

では、卸売業の場合はどうなるでしょうか。

卸売業の場合は、商品を受け取ったのは1月31日なので、1月31日に「仕入」で帳簿付けします。また、現金を引き渡したのは2月20日なので、2月20日に「売上」で帳簿付けします。現金主義とは帳簿付けする日が異なりますね。

発生主義は、あくまで商品が動いたときに帳簿付けします。

では、確定申告をする場合どちらの方法で処理するのでしょうか。

答えは白色申告、青色申告を問わず「発生主義」です。

 

「現金主義」で処理できるのは、あらかじめその旨を税務署に届け出て承認されたときだけです。届け出ずに現金主義で処理すると、利益や税金の計算間違いになってしまうので気をつけましょう。

ちなみに税務署から承認されて「現金主義」で帳簿付けした場合は、青色申告では10万円控除しか受けられません。

 

最後に、10万円控除よりも65万円控除を受けるほうが、絶対にお得です。その分、帳簿付けが少し複雑ですが、毎年のことなので慣れれば問題なくできます。できるだけ複式簿記で帳簿付けし、65万円控除を受けましょう。

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