確定申告をするときには、青色申告・白色申告それぞれの必要な書類を税務署に提出する必要があります。
提出する書類が足りないと、後で提出を求める電話がかかってきたり、税金の還付がある場合は還付時期が大幅に遅れることもあります。
今回は、この確定申告の際の提出書類について確認していきましょう。
実際に提出する前に確認することももちろんですが、何が必要な書類なのかしっかり把握しておくことは大切ですよ。
ポイントは
・青色申告、白色申告で提出する書類は違います
・メインの提出書類は主に2つ
・控除、還付を受けるなら添付書類は忘れずに
・給与所得がある場合は源泉徴収票も必須
・マイナンバーも忘れずに記入しましょう
の4点です
提出書類を確認する前に、まず確定申告の提出期限から見ていきましょう。確定申告の提出期限は翌年2月16日~3月15日となっています。
※土日に該当する場合は、日付が異なりますのでご注意ください。2017年は2月16日~3月15日になります。
この期間に1月1日から12月31日までの期間の利益や税額を計算し、確定申告をしなければなりません。
税金が戻ってくる、還付申告場合は、翌年1月4日から提出することができます。
確定申告書にはAとBの2種類があります。
「確定申告書A」は所得の種類が給与所得や、公的年金などの雑所得、配当所得の人が利用する書類です。
ですので、主にサラリーマン、パート、アルバイトの人、または年金生活の方は「確定申告書A」を利用します。
それらの人は基本的に源泉徴収されているので確定申告する必要はないのですが、医療費控除や住宅ローン控除などの税金の還付を受けるために確定申告する際に利用します。
「確定申告書B」は納める税額を計算するために作られる書類です。
事業所得や不動産所得などがある人など所得の種類に関わらず使用する書類で、個人事業主、フリーランスは「確定申告書B」を使用します。
確定申告書Aは、確定申告書Bから事業をしていない人向けに必要な部分を抜き出して作成されています。
そのため、事業をしていない人も確定申告書Bで申告しても問題ありません。
逆に、事業をしている人は確定申告書Aで提出することはできないので注意しましょう。
では、提出書類についてみていきましょう。確定申告で提出する書類はまず青色申告と白色申告で異なります。
青色申告の場合で必要なものは次の2つです。
「確定申告書B」
「青色申告決算書」
白色申告の場合で必要なものは次の2つです。
「確定申告書B」
「収支内訳書」
どちらも同じような書類を出す必要がありますが、青色申告と白色申告に共通して提出する書類は「確定申告書B」です。
青色申告の「青色申告決算書」や白色申告の「収支内訳書」は売上や経費、利益などの経営状況を記載する書類です。
青色申告では、青色申告特別控除や青色専従者給与などの特典が認められています。白色申告では認められていないため、利益の計算方法が少し違います。
そのため、青色申告と白色申告で異なる書類を提出するのです。
書類はいずれも税務署から送られてきます。「青色申告決算書(または収支内訳書)」と「確定申告書B」は別々で送られてきますので注意してください。
医療費控除などの所得控除を受ける場合は、それぞれの証明書なども申告書に添付します。
青色申告決算書や収支内訳書には前もって準備として1年間に動いたお金の金額を出して集計した残高や合計金額を転記し利益を計算します。
・収支内訳書
全2ページです。
1ページ目は氏名や住所などの情報、1年間の損益の合計金額などを記載します。
2ページ目は売上先や仕入先、減価償却費の明細を記載します。
具体的な書き方は以下を参照してください。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/pdf/30.pdf
・青色申告決算書
全4ページです。
1ページ目は氏名や住所などの情報、1年間の損益の合計金額などを記載します。
2ページ目は月別売上高や仕入高、給料賃金や専従者給与などの明細を記載します。
3ページ目は主に減価償却費の明細を記載するページです。
4ページ目は貸借科目の残高を記載します。
具体的な書き方は以下を参照してください。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2014/pdf/33.pdf
確定申告書Bは最終的に納める税金を求めるものです。第一表と第二表が基本のセットで、両方提出する必要があります。第一表で税金の計算を、第二表でその内訳を記載します。
以下の記載例を見てください。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kisairei2015/pdf/shinkoku_b.pdf
大まかな作成の流れは、
第一表の左側 「収入金額」に売上高を(事業の場合はア欄)、「所得金額」に青色申告の場合は10万円や65万円控除を差し引いた金額(もうけ)を記載します。
そこから所得から差し引く金額(所得控除)を記載し差し引きます。第一表の右側で差し引いた所得に税率をかけて税額を計算します。
所得控除とは「養っている家族や医療費にお金が多くかかった」「生命保険や地震保険を支払った」など、個々の生活に必要なお金を考慮するために設けられた控除のこと。所得税の計算の途中で所得金額から差し引かれます。
所得控除が多ければ多いほど税金は安くなるため、どのような所得控除があるかを知っておくことが重要です。所得控除には以下の種類があります。
種類 |
内容 |
雑損控除 |
火災や盗難、横領によって住宅や家財などに損害を受けた場合の控除 |
医療費控除 |
一定額以上の医療費の支払いがある場合の控除 |
社会保険料控除 |
健康保険、国民年金、介護保険の支払いがある場合の控除 |
小規模企業共済等 掛金控除 |
小規模企業共済の掛け金の支払いがある場合の控除 |
生命保険料控除 |
生命保険会社等に生命保険や個人年金保険の支払いがある場合の控除 |
地震保険料控除 |
地震保険料や旧長期損害保険料の支払いがある場合の控除 |
寄付金控除 |
国や地方、政治献金などがある場合の控除 |
寡婦・寡夫控除 |
あなたが寡婦または寡夫である場合の控除 |
勤労学生控除 |
あなたが勤労学生である場合の控除 |
障害者控除 |
あなたや親族が障害者である場合の控除 |
配偶者控除 |
控除対象の配偶者がいる場合の控除 |
配偶者特別控除 |
所得が38万円超76万円未満の配偶者がいる場合の控除 |
扶養控除 |
控除対象の扶養家族がいる場合の控除 |
基礎控除 |
本人に対する控除 |
所得控除の中には、証明する書類の添付がないと受けられないものがあります。
◎添付書類が必要な控除と添付書類
①雑損控除
災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書
②医療費控除
1.医療費の領収書
2.医療費の明細書・・・人ごと、病院ごとに金額を記載する
③社会保険料控除
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
※健康保険料については、控除の証明書の添付は不要です。
④小規模企業共済等掛金控除
支払った金額の控除証明書
⑤生命保険料控除
支払った金額の控除証明書(旧生命保険料の場合は1契約9,000円以下の場合不要)
⑥地震保険料控除
支払った金額の控除証明書
⑦寄付金控除
寄附金の受領証
給与所得がある場合は給与の支払先から発行される源泉徴収票を申告書類と一緒に提出するのが必要です。
年末調整をしている場合、勤め先に提出した控除証明書は確定申告書に添付する必要はありません。
また、支払調書を添付している人も多いと思いますが、支払調書の提出は支払い側が提出する必要があるもので、受け取り側が提出する義務のある者ではありません。
支払調書を発送するかは任意とされていますので、企業によっては発送しないようにしているところもありますので慌てないようにしましょう
平成28年分(平成29年3月15日申告期限分)から、確定申告書にマイナンバーの記載が必要になりました。
そのため、申告書に本人確認書類の添付が必要です。
マイナンバー関係で必要な書類は、番号確認書類と身元確認書類のふたつです。
マイナンバーカードの表面で身元確認を、裏面で番号確認を行うため、マイナンバーカード1枚でふたつの書類を兼ねることができます。表面と裏面、両面のコピーを用意しましょう。
番号確認書類と身元確認書類をそれぞれ用意する必要があります。
番号確認書類・・・マイナンバー通知カード、マイナンバーの記載がある住民票の写しなど。
身元確認書類・・・運転免許証やパスポート、公的医療保険の被保険者証など。
それぞれの1種類ずつコピーを用意しましょう。
確定申告の書類は確定申告の時期だけの処理で作れるものではなく、それ以前の日々の準備も必要です。
最後に確定申告にまでの大きな流れを確認しましょう。
①日々の帳簿付けを正しくする
②決算の帳簿付けをする
③帳簿から各勘定科目の残高や合計金額を計算する
④青色申告決算書や収支内訳書に集計した残高や合計金額を転記し、利益を計算する
⑤確定申告書Bで求めた利益から納付税額を計算する
ここでは事前準備にあたる、①~③までを見ていきます。
確定申告時期がくるまでは日常の帳簿をつけていくことになります。1か月ごとなど定期的に記帳間違いがないか確認します。
1.売上や仕入
できれば毎月ごとに請求書、納品書と帳簿の記載があっているかのつき合わせをしましょう。
その月の売上や仕入だけでなく前月分の入金や支払がきちんと帳簿付けできているかも確認します。
2.普通預金
実際の通帳残高と帳面の残高があっているかどうかを確認します。
売上、仕入、通帳残高があっていれば、大きな間違いがある可能性はかなり低くなります。
あとは細かい領収書などの抜け漏れがないか確認します。領収書や帳簿は確定申告のときに提出義務はありませんが、保存の義務があります。
特に領収書は紛失の恐れもあるので、月ごとにノートに貼ったり、封筒に入れたりするなど、なくさないように保管しておきましょう。
保管方法について、特に法律で決まっている方法はありません。
日々の帳簿付けが終わり12月31日になったら、年に1度の帳簿付けがあります。主なものを見ていきましょう
・今年売れて、翌年に入金になる売上を記帳する。
確定申告では、白色申告も青色申告も発生主義をもとに売上や仕入などを計算しないといけません。
発生主義とは「お金をもらっていない、またはは払っていなくても商品が移動したら売上や仕入にしよう」というものです。
通常、入金があったときに売上にしている場合は、決算で入金はまだだが商品は相手に渡しているものを売上にプラスします。
・今年購入して翌年に支払うものを仕入や経費に記帳する。
今度は売上の逆です。普段支払ったときに仕入れや経費にしている場合は、決算で支払いはまだだが商品が届いてるものを仕入や経費にプラスします。
・棚卸
商品を販売している場合は12月31日現在の実地の棚卸をする必要があります。
「棚卸」とは商品の在庫数を数え、いくら売れ残っているかを把握する作業です。確定申告では売り上げた商品しか仕入にすることができません。
売上に対応した仕入れを「売上原価」といいます。そのため売れ残った商品は仕入れから差し引く処理をします
・減価償却費
1つ10万円を超えるものは固定資産に計上する必要があります。固定資産にしたものは購入時に全額経費にできず、一定期間毎年すこしずつ経費にします。
例えば100万円の機械を10年間で経費にする場合は、毎年10万円ずつ経費になります。
すべての帳簿付けが終わったら、1年間の合計金額や残高を計算しましょう。
毎日、毎週、毎月としっかり帳簿を管理しておくと、申告前の準備が随分と楽になります。
確定申告は必ず必要な作業ですので、ついついさぼってしまうと申告前に大慌てしてしまうことになりますので注意しましょう
白色申告・青色申告、確定申告で提出する書類はたくさんあります。提出する前には必ず抜け漏れがないかを確認して、提出しましょう。