国民には納税の義務とものがありますよね。サラリーマンであっても個人事業主であっても働いて得たお金には税金がかかります。
サラリーマンであれば源泉徴収されますので手元に残るお金は税引後のお金になりますが、個人事業主であれば1年間の収入を確定申告して税額を決定しないと行けません。
この場合の税金はいわゆる「所得税」です。
この他にも色々な税金を私たちは国、または所在している都道府県や市区町村に納めなければなりません。
今回は個人事業主が払う必要のある税金について焦点を当てて、主にどのような税があって、いつ頃納めなければならないのかを調べてみました。
・所得税
・住民税
・個人事業税
・消費税
の4つの税を説明していきたいと思います。
税金にも様々な種類がありますが、今回は個人事業主が主に納める税金ということで4つの代表的な税である
「所得税」・「住民税」・「個人事業税」・「消費税」を取り上げたいと思います。
個人事業主が毎年行っているいわゆる確定申告というのは「所得税」の額を計算して確定するものです。
所得税の計算の中で「住民税」や「個人事業税」の税額は決まってきますので後者に関しては個別に算出するといった作業は普段はしないと思います。
「消費税」は他の3つとは性質の全く異なる税金になります。
それではそれぞれの税について見ていきましょう。
個人事業主にとって所得税は1番金額の大きなメインの税金といえるでしょう。
所得税額の計算方法は
収入ー経費ー所得控除=課税所得金額
課税所得金額×税率ー課税控除額=所得税額
となっています。
1年間の収入額からその間の経費や所得控除額を引いた金額に税率をかけて、その金額からさらに課税控除額を引いた金額です。
所得控除は所得から差し引いて計算することのできる制度で、所得控除があればその分課税対象になる課税所得金額を小さくすることができます。
色々な条件で適用されますので主な控除は次の表のようになります。
※所得控除の種類
種類 |
内容 |
雑損控除 |
火災や盗難、横領によって住宅や家財などに損害を受けた場合の控除 |
医療費控除 |
一定額以上の医療費の支払いがある場合の控除 |
社会保険料控除 |
健康保険、国民年金、介護保険の支払いがある場合の控除 |
小規模企業共済等 掛金控除 |
小規模企業共済の掛け金の支払いがある場合の控除 |
生命保険料控除 |
生命保険会社等に生命保険や個人年金保険の支払いがある場合の控除 |
地震保険料控除 |
地震保険料や旧長期損害保険料の支払いがある場合の控除 |
寄付金控除 |
国や地方、政治献金などがある場合の控除 |
寡婦・寡夫控除 |
あなたが寡婦または寡夫である場合の控除 |
勤労学生控除 |
あなたが勤労学生である場合の控除 |
障害者控除 |
あなたや親族が障害者である場合の控除 |
配偶者控除 |
控除対象の配偶者がいる場合の控除 |
配偶者特別控除 |
所得が38万円超76万円未満の配偶者がいる場合の控除 |
扶養控除 |
控除対象の扶養家族がいる場合の控除 |
基礎控除 |
本人に対する控除 |
所得税の税率は課税所得金額の多さによって変動します、金額が多い程税率が高くなります。
そして課税控除額も税率が高くなる程大きくなっていきます。
経費や各種所得控除を差し引いた課税所得金額が195万円以下であれば税率は5%となります。この場合は課税控除額は0円に設定されています。
そして195万円を超えると税率は10%になりますが課税控除額として¥97,500が適用されます。
この課税控除額があることで、税率が変動するライン付近であっても負担する金額の不都合が緩和される仕組みになっています。
税率は課税所得金額が増えるごとに段階的に大きくなり
税率20%・・・330万円超から
税率23%・・・695万円超から
税率33%・・・900万円超から
税率40%・・・1,800万円超から
税率45%・・・4,000万円超から
などとなっています。税率が上がる段階で課税控除額も増額されます。
以上、こういった方法で所得税は決定されます。
確定した所得税は基本的には3月15日まで、確定申告の期限日までに納付するようになっています。
期限日の3月15日というのは年によって前後することもありますので確認が必要です。
確定申告を税務署で行った場合はそのまま直接現金で納付することもできます。
また、納付書をもらって帰ってきて、もしくは金融機関に用意してある納付書を使って後日納付することもできます
この他、税務署に申請している場合は口座からの引き落としや、e-taxでの電子納付なども可能です。
現在はこの所得税と併せて復興特別所得税も納付しなければいけません。
復興特別所得税は東日本大震災の復興の為の財源として徴収されるもので、平成25年から平成49年までの25年間徴収されます。
復興特別所得税の額は所得税額に一律2.1%を掛けたものになります。金額のうち100円未満は切り捨てされます。
住民税は所得税に続いてほとんどの人が納めている税金になります。
所得税は国に対する税金「国税」ですが、住民税は地方公共団体に対する税金の「地方税」にあたります。
住民税は個人事業主で確定申告をしているのであれば、個人で税額を算出して提出する必要はありません。
国から申告書の内容がそれぞれの地方公共団体に連絡され、その内容で決定された住民税額が地方公共団体から通知されることになります。
個人の住民税の内訳は「都道府県民税」と「市区町村税」の2つが合わさったものになります。
またそれぞれが「均等割」と「所得割」の2種類からなっています。
住民税としてはこの4種の合計の金額を納めることになりますが通知が来る時点で合算された金額が来ますので納付の際には気にする必要はありません。
・均等割
住民税のうちの均等割はどの人にも所得の額に関係なく課される税金です。
基本的には
「都道府県民税」で1,000円
「市区町村民税」で3,000円
で合計4,000円になります。
これに平成26年から35年までの間は、復興特別税がそれぞれ500円ずつ、計1,000円加算されて合計5,000円となります。
・所得割
所得割は所得額に比例して課税される金額が変わります。
所得税とほぼ仕組みは同じになりますが、計算方法は
課税所得金額×税率ー税額控除額=所得割の税額
となっています。
所得税の計算の際に算出された所得の金額から所得控除を差し引いた課税所得金額に税率を掛けたものが所得割の金額になります。
税率は全国で基準が10%となっており、
「都道府県税分」が4%
「市区町村税分」が6%
で合計10%の税率になっています。
そこから、所得税でもあったように税額控除を差し引いたものが実質の所得割りの金額です。
住民税の算出方法は一般的に全国同じですが、条例によって自治体によって異なる場合があります。
例えば、愛知県の名古屋市では恒久減税で「市区町村民税」の均等割が2,800円、所得割の税率が5.7%となっています。
住民税の納付は一括か4回の分割となっており、分割の場合は通常、6月末・8月末・10月末・1月末が納期です。
住民税を納める方法は通知書と一緒に届く納付書を使います。
毎年6月上旬には通知書と一緒に納付書が届きます。
納付書に記載されている指定の金融機関やコンビニエンスストアで納付します。
口座からの引落しを申し込んでいれば、自動引き落としが利用できたり、市町村によってはATMからの払い込みやクレジットカードでの納付などもできます。
所得税、住民税と見ていきましたが次は個人事業税、消費税を見ていきましょう。
所得税・住民税はほとんどの人が納めていますが、個人事業税・消費税は個人事業主でも気にしたことがないという人が結構いると思います。
この2つの税は納税義務者となる条件が所得税・住民税より高めなので、事業の規模が小さな人であれば納めなくてもよくなっています。
個人事業税は都道府県に納める地方税の1つになります。
個人事業税も確定申告をしているのであれば自動的に算出されて、納める必要がある人に通知書が送られます。
納付の必要のない人には通知書自体が来ませんので気にしてない人もいるのでしょう。
送られてくる時期は8月で今回紹介する4つの税金では最も遅くなります。 納付は一括か2回の分割になっていて、分割の場合は8月末と11月末が納期になっています。
個人事業税の計算方法は
課税所得金額-事業主控除×税率=個人事業税額
となっています。 事業主控除の額は一律で290万円となっています。
そのため1年間の収入から経費や各種控除を引いた金額が290万円に届かないのであれば個人事業税は納めなくてもよいということです。
そこに税率をかけて個人事業税額は決まりますが、この税率は職種によって決まります。
多くの職種の場合は5%ですが、職種によっては3%てなっていたり、だいたい3〜5%と違いがあります。
また、個人事業税の課税対象とならない職種もあります。 フリーランスの人が多いライター業(文筆業)は対象外とされています。
課税対象になる職種や税率などは都道府県によって定義が若干異なります。
消費税も納めなければならない大事な税金です。
支払う際の消費税はなじみ深いですが、消費税の納付というとピンとこない人も多いと思います。
個人事業主は消費税を支払うだけでなく、事業の中で受取ることも多いと思います。
この受け取った分の消費税は実際は「預かった」と考えた方がいいです。
事業の中で発生した売上に含まれる消費税は、消費者が負担したもので、これは事業者が一時的に預かっただけで消費者に代わって国(一部は地方)に納付しないといけません。
消費税の納付金額の計算方法は年間で
税込み売上高の8% − 税込み仕入等の8% = 納付すべき消費税額
となります。
売上に含まれる受け取った消費税額から仕入れ等で支払った消費税額を差し引きます。
また8%は現在の消費税率です。数回の延期経て、2019年の10月には税率10%に引き上げられることになりました。
今後の経済状況などでこの予定もまた変更となるかもしれません。
こうした消費税ですがあまり気にしたことのない人が多いのは、納めなくてもよい事業主が多いからです。
消費税納付しないといけない事業主には以下のような決まりがあります。
2年前の税込み売上高が1,000万円を超えた事業主
ですので開業から2年間は2年前の売上は当然ゼロですので、消費税が免税されることになります。
またその後も売上が1,000万円に満たない場合はそのまま免税されます。
ただし、個人事業主は2年前の売上が1,000万円以下であっても1年前に上半期(1/1〜6/30までの期間)で1,000万円を超える売上があった場合は消費税を納付しないといけません。
また売上高は年々変動しますので、これまで消費税を納付していた事業主もその年は免税の対象になることもあります。
そういった場合は勝手に納めないといったことはせずに、税務署に「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出して消費税の免税対象になったことを届け出なくてはいけません。
個人事業主の消費税の納付は所得税と同じように確定申告をして期限内に納付しないといけません。
期限は3月31日となっていて、所得税の期限(だいたい3月15日)より半月長くなっています。
また、納めなければいけない消費税額が48万円を超える場合は中間申告ができるようになっています。
住民税等の分割払いと似たような仕組みで、1年間を決まった期間に分けてその期間中の消費税を申告して納めていきます。
以上、4つの大きな税金「所得税」・「住民税」・「個人事業税」・「消費税」についての紹介でした。 この他には土地や建物、減価償却が必要な高額な事業用資産に対する「固定資産税」といったものもあります。
納める時期や納付が義務となる条件がそれぞれ違ったりしますが、忘れずにしっかり納付しましょう。