将来のことを考えるとやっぱり心配事の1番最初に出てくるのはお金、経済的な状況になるかと思います。
年金はちゃんと納めていればもらえはしますが、それだけでは生活はしていけなさそうな状況です。
第一線で働けない年齢になってもちょっといい生活、満足できる豊かな生活をしたいと思うのであれば、今のうちからの老後のための計画、蓄えというのは非常に重要になってきます。
特に、個人事業主・フリーランスの方は会社員や公務員などと年金の仕組みが違い、普通にしていればもらえる金額が少なくなっています。
そこでここでは、個人事業主・フリーランスの方のための将来もらえる年金を増やす方法、「国民年金基金」についてをメインにまとめていきます。
・国民年金制度の現状
・年金の払い方ともらえる金額の違い
・国の年金以外の年金制度、個人年金
・国民年金基金とは
・国民年金基金のメリット・加入条件
のポイントを説明していきます
現在日本には年金制度がありますよね。成人、社会人になってからは月々一定の金額を納めていくと、65歳以降になると納めた金額に応じてお金が給付される。ありがたい制度です。
ですが少子高齢化が急速に進み、非正規雇用の増加など働き方の環境も大きく変わった近年になると、
年金制度というものはなくなるのではないか、自分の世代ではもらえないのではないか。
もらえる額はどんどん減っていって年金だけでは全く生活できなくなるのではないか
との憶測も広がりつつあります。
そんな話題に事欠かない年金制度ですが、年金の納付は義務ですので自分がもらえるかどうかに関係なく、今の制度を支えるためにも払っていかないといけません。
「年金は払いたくない!」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか、実際に大きな病気や怪我などで収入が安定せず支払えないといった人もいるでしょう。
実際に数年間未納となっている期間が数年間ある人も、現在は過去5年間に遡って未納分を収めることができます。余裕ができた際には納めることをお勧めします。
年金は納めなければもらえませんし、もらえる額は納めた期間、金額で変わります。
これまでは最低25年間は払わないともらえませんでしたが、2016年11月に法律が変わり受給資格となる納付期間が10年に短縮されました。
確かに最低限の資格でもらえる金額は16,000円程度と微々たるものですが、年金の最大のメリットは、「生きている限りずっと年金をもらえること」。
日本人の平均寿命は年々伸びますし、定期的にもらえるお金があるのは心強いものです。やはりちゃんと納付しておくべきだと思います。
会社員や公務員などは国民年金(基礎年金)に、会社側が厚生年金をかけてくれたり共済年金をかけてくれます。
しかも、会社員や公務員の扶養の妻は年金保険料を納めなくても、将来、国民年金がもらえます。しかし、残念ながらフリーランス(自営業者)は基礎年金である国民年金を自分で支払うのみ。
ただ、どの働き方でもそれぞれ「自力」で年金をプラスして支払い、受給できる制度はあります。
大前提として、これまではは25年以上、これからは10年以上、年金保険料を払っていないと、将来給付金をもらえません。
将来、国民年金だけだと保険料納付済み期間が480か月(40年)で定額
78万0100円×加入期間(月数)(保険料納付期間)/480 (平成28年度価格)
という計算式から、年金の年間受給額が計算できます。
20歳から60歳までの40年間(480月)保険料をちゃんと納付していたら、満額の年約78万0100円を受け取れることになりますが
ですが、納付している期間が短くなるとそれだけ年金額が減る仕組みです。
例えば、30年(360月)間加入(保険料納付)したとすると、ざっくり言って、
78万0100円×360/480=約59万円
ということになります。
しかも、昭和36年4月2日生まれ以降の男性、昭和41年4月2日生まれ以降の女性は65歳からしか年金がもらえません。
さらに、年金改正がある可能性もあり、もっともらえる期間が遅くなるかもしれない。
けれど、年金は国の制度なので、仕組みが多少変わることはあれども全く無くなってしまうということはまずないでしょう。
そのため将来の収入の大きな柱になることは間違いありません。
個人事業主・フリーランスなど自営業の人は国民年金にのみ加入しますが、サラリーマンは厚生年金に加入します。
公務員の共済年金は2015年に厚生年金と1本化されたため現在はサラリーマンと同じです
サラリーマンは年金が多いとはよく言われますが、これは厚生年金の仕組みに理由があります。
厚生年金の仕組みは2階建てとよく表されます。フリーランスなど国民全員が加入している国民年金を基礎としてそれに上乗せする形で厚生年金があります。
なので、国民年金分にプラスして厚生年金分が老後に貰えるということ。金額が比較して高くなるのは当然の話です。
それでは、どれだけもらえる年金に差が出でるのでしょうか。それは、年収や独身であったり途中から独立した会社員であったりと条件によって違うので一概には言えません。
計算方法も正確に出すには複雑な方法を取りますので大雑把に計算すると、年収に差がなくて40年近い期間を納め続けたとすると。
フリーランス・個人事業主 国民年金のみ 6万円超/月額
サラリーマン 国民年金+厚生年金 15万円超/月額
といった感じで2~3倍程度の差が出ることになるのです。
忘れてはいけない点は厚生年金は国民年金にプラスするという仕組みなので当然毎月の年金保険料も多く払っています。
国民年金が月16,000円強程度なのに対して厚生年金は月に32,000強程度となっています。
しかしそのうちの半額は会社負担分になりますので実質負担しているの額は変わらなくなってしまいます。
月に6万円前後の年金で老後が暮らせるのか、となると不安が募ってしまうかもしれません。老後にかかる負担は、食費や家賃だけではないですから。
そこで、「フリーランスの老後のためにある!」といっても過言ではない、任意で年金を増やせる方法をお伝えします。
フリーランスが自前で国民年金を上乗せできる制度が「付加年金」「国民年金基金」「確定拠出年金(個人型)」です。
「付加年金」は国民年金に毎月たった400円プラスするだけで、将来200円×付加年金保険料納付月数が毎月もらえるというもの。日本年金機構の商品です。
「確定拠出年金(個人型)」は、民間の金融機関の商品を自分で選び、自分で運用するイメージ。手数料が比較的高いのが難点ですが、運用次第で大きく年金が増えるかもしれないという制度です。ただし、元本割れのリスクは0ではないので商品選びは慎重に。
「国民年金基金」は、会社員や公務員との年金額の差を解消するための公的年金制度で、少ない掛け金で始められ、加入後も収入に応じて月々の掛け金の増減ができるので、収入の不安定なフリーランスでも負担が少ないのが特徴です。
どの年金商品も、全額所得控除になるので、将来老後のお金を貯めることができるのはもちろん、税金も安くなるし、年金受給年齢までお金をおろせないのもフリーランスにとっては無駄遣い防止へのメリットですね。
今回は、特に「国民年金基金」を紹介します。
「国民年金基金」とは、会社員等の方との年金額の差を解消するために創設された公的な年金制度です。
国民年金とセットで、フリーランスたちがより豊かな老後を過ごすことができるよう、国民年金に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度です。
最初に国民年金基金の特徴をまとめておくと
・公的な年金制度です
・国民年金を基礎として年金基金分をプラスして老後に受け取れます
・年金基金の保険料は全額所得控除の対象になります
・「地域型」と「職能型」の種類があります
・「終身型」に加えて「確定給付型」の年金もあります
・定額の年金を「口数」で納めるので、老後に年金としていくら貰いたいのか自分で計画できます
・加入口数は経済的な状況に合わせて減らすこともできます
国民年金基金に加入した方は、国民年金本体の保険料を滞納した場合、その滞納期間に対する基金の年金給付は受け取れません。
あくまでも、「国民年金のプラスアルファの積み立て」なので、国民年金を支払っていない期間は国民年金基金のほうも加入していたことにはならないのです。
個人でできる公的な厚生年金的なもの大まかにと考えるといいのではないでしょうか。
もし、支払っていない期間がある場合、国民年金の保険料は2年間遡って納付できますので必ず納付してください。(国民年金本体の保険料を滞納した期間分の国民年金基金の掛金はお返しします。)
国民年金基金は、47都道府県に設立された「地域型基金」と25の職種別に設立された「職能型基金」の2種類があります。
地域型と職能型の2つの形態が設けられていますが、それぞれの基金が行う事業内容は同じです。加入する場合はいずれか一つの基金にしか加入できません。
また、「地域型」に加入している人が違う都道府県に引っ越した場合、加入資格はなくなりますが、引っ越し先の「地域型国民年金基金」に加入できます。
これまでと同じ掛金で引き続き加入したい場合は、3か月以内に引っ越し先の国民年金基金で申し込みの手続きをする必要があります。
国民年金基金は、掛け金を上限6万8000円(月額)までの範囲で選択できます。
こちらはもちろん、全額経費扱いになりますので税金がかからない将来への積み立てです。
国民年金基金の加入は、以下のような年金給付の型を「口数」で選択して組み合わせ、自分で将来の年金額を決めることができます。
国民年金の掛金は、自分で好きな金額を決めるという形ではなく、あらかじめ「1口:○○円」という金額が決められていて、その中で「数口加入する」という風に決める仕組みになっています。
国民年金に加入する場合、まず1口目の2種類の中から1つ以上を選ぶことが条件で、2口目以降で、確定給付年金Ⅰ型~Ⅲ型が選べるという仕組みになっています。
・ 終身年金A型 (15年間保証)
・ 終身年金B型 (保証期間なし)
※B型にのみ加入しており、年金支給開始前に死亡した場合には、遺族一時金として1万円が支払われます。
・ 確定給付年金Ⅰ型 (65歳支給開始、15年間保証)
・ 確定給付年金Ⅱ型 (65歳支給開始、10年間保証)
・ 確定給付年金Ⅲ型 (60歳支給開始、15年間保証)
「掛け金は毎月いくらで、結局いくら受け取れるのか」は、加入年齢、性別、選ぶ口数で変わります。
詳しくは、国民年金基金のホームページの「年金シュミレーション」で自分と照らし合わせてみてください。
どの給付の型を選ぶのかについては、長生きしたときのためになのか、お金を残したい遺族がいるかどうか、少しでも税金を減らしたい、など各々の事情によりますので、自分の事情に合ったものを選択すれば良いと思います。
税金の免除額を加味すると、入るに値する商品だとは思いますよ。
シュミレーターで自分の掛け金と免税額、将来もらえる年金の増加率を加味してみると、年金にプラスアルファすることができる「国民年金基金」が魅力的に感じてきたのではないでしょうか。
国民年金基金に加入できる条件は、次の通りです。
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族
自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者
日本国内に居住している60歳以上65歳未満の方で国民年金の任意加入被保険者
ただし、農業者年金の被保険者の方は加入できません。
国民年金基金への加入は任意ですが、付加年金を代行した公的な年金制度のため、加入後は途中で任意に脱退はできません。
また、国民年金基金に加入した方は次のいずれかに該当したとき加入資格を喪失します。
・60歳になったとき
・65歳になったとき(60歳以上で加入した場合)
・会社員になったときなど国民年金の第1号被保険者でなくなったとき(海外に転居したときを含みます)
・国民年金の任意加入被保険者でなくなったとき(60歳以上で加入した場合)
・他の都道府県に転居したとき(地域型基金の場合)
・該当する事業または業務に従事しなくなったとき(職能型基金の場合)
・国民年金の保険料を免除(一部免除・学生納付特例・納付猶予を含む)されたとき※
・農業者年金の被保険者になったとき
・加入者本人が死亡した場合(遺族へのお金は支払われます)
上記以外の理由では国民年金基金の加入資格を喪失することはありません。
国民年金基金の掛け金は、月払いの場合毎月1日に引き落としされます。
また、掛金を引き落としできなかった場合には、その翌月に2ヶ月分をまとめて引き落とし、という形に。また、2ヶ月連続で引き落としできなかった場合には、掛金の払込票が郵送されます。
ただし、覚えておきたいのは2か月以上延滞すると「所定の延滞金が付加される」ということ。
掛金を過去にさかのぼって納められるのは2年までとなりますが、なるべく延滞はしないほうがお得ですね。
また、お金に余裕がある方は、4月から翌年3月までの1年分の掛金を前納すると0.1か月分の掛金が割引されます。
微々たる割引かもしれませんが、何十年も払い続けることを考えるとなるべく前倒しで払えるといいですね。
もし、万が一支払いが困難になってしまったとき、「国民年金基金」は、原則として脱退はできませんが、事前に申し出れば状況に応じて加入口数を減らすことが可能です。
減口してもなお支払いが困難な場合は、掛金の払い込みを一時中断することもやむを得ないでしょう。
ただし、中断すればもちろん掛金の未納期間に応じて年金は減額されます。
掛金を支払えなかった期間の給付金を受け取ったり、中途解約してそれまでの分を一時金で受け取ったりすることはできませんので注意してください。
しかし、「国民年金基金」は、老後のためにとっておく大事な年金。途中で解約できないのは、老後の資金を確実に準備できるという意味ではメリットと捉えることもできるでしょう。
「口座にお金があると、ついつい使ってしまう!」という方や、「老後のお金はなるべく多いほうがいいな」という方はぜひ、加入をお勧めいたします。