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もう迷わない!フリーランス・個人事業主の「経費」で落とせるものまとめ

個人事業主やフリーランスがは日々の帳簿付けをしていくうえで、売上や仕入は帳簿付けで迷うことは比較的少ないのですが、
経費については、それが経費になるのかどうかなど迷うことが多いのではないでしょうか?

経費計上できる場合はどの勘定科目で処理したらいいのか、また金額に上限などがあるのかなど、

ここでは経費の計上について詳しく解説します。

・経費になるものはしっかり経費で処理するのが節税の基本!
・どういったものをどの勘定科目で計上するのかチェック
・経費になるのは事業に使用したもの
・事業と私用の両方で使うものは使う割合で金額を分ける
・いつ経費として計上するのか、その時期に注意!

以上のポイントを中心に経費の処理の仕方をまとめていきます。

経費は税金額に大きく関わってくる項目です。しっかり管理すれば税金額を大きく減らしたりすることもできますのでちゃんとマスターしたいですね。

 

◆経費の考え方

所得税は、所得金額に一定の税率をかけて計算します。
簡単にいうと、所得金額は売上から経費等を差し引いたもうけです。
経費が増えるともうけが減るので税金が安くなります。経費は税金に直接関係するので重要です。
そのためきちんと管理する必要があります。

実は、経費になるというものが結構あります。「経費にまわせるものはもれなく経費にする」これが節税の基本です。

個人事業主やフリーランスの場合、わざわざ事業用のお金とプライベート用のお金を分けている人はあまり多くありません。
お金の出どころは1つのため、その支出が事業の経費にできるのか、それともプライベートの支出になるのか、わかりにくいものも多いかと思います。

次からは、実際の勘定科目と何が該当するのか見ていきましょう。

 

◆仕事用に使ったか、プライベートで使ったかが経費の大原則

生命保険や医療費、寄附金など事業とまったく関係ないものは経費になりません。逆に事業と関係があるものは経費になります。

「経費になるもの・ならないもの」を下記で表にまとめました。勘定科目は「青色申告決算書」1ページ目の「損益計算書」に記載があるものに準拠しています。

まずはその支払いが100%経費になるものか、100%経費にならないものかを考えてください。

経費になるもの・ならないもの

勘定科目名

概要

経費になるもの

経費にならないもの

租税公課

事業に関係のある税金 

事業税や消費税、印紙代、店舗の固定資産税、事業用の自動車税

家の固定資産税、自家用車の自動車税

荷造運賃

商品の発送費用

宅配業者の運賃など

事業に関係ない運賃

水道光熱費

事業に関係のある電気代、ガス代、水道代

事務所や店舗・工場の

水道代、ガス代、電気代

家の水道代、ガス代、電気代

旅費交通費

電車代など交通にかかる経費

電車代やバス代、高速道路通行料、タクシー代、出張旅費など

病院に行った電車代、タクシー代(医療費控除になる)

通信費

電話代など通信にかかった費用

電話や携帯電話の通信料、インターネット代、切手やはがき代など

私的な携帯電話の通信料やインターネット代

広告宣伝費

お店等の広告に使った費用

チラシ代、求人広告掲載料など

 

接待交際費

取引先との飲食代やお中元・お歳暮など取引先への接待などに使った費用。法人とは違い上限は決められていない。

取引先との飲食代、お中元・お歳暮、香典、お祝い金など

私的な食事代やお中元、お歳暮、香典、お祝い金など

損害保険料

火災保険や地震保険などの保険料

事務所や店舗の火災保険や地震保険、事務所や店舗

 

修繕費

20万円未満かおおむね三年周期に行う修理代

店舗や備品の修理費用、原状回復費用

家の修理費用

消耗品費

購入代金が1つあたり10万円未満のものの購入費。

金額は決まっていないが、

目安は数万円のものそれ以下は雑費等で処理

パソコン、机・いす、棚など

家で使う家具やパソコン。

事業で使う購入金が鵜が1つあたり10万円以上のもの(固定資産になる)

減価償却費

固定資産を毎年少しずつ経費にするもの

建物、工具器具備品、機械装置、車両運搬具など

家や自家用車

福利厚生費

従業員に対する残業食事代などの厚生費用

従業員がいない場合は原則この科目は使いません。

従業員に対する残業食事代、慰安旅行、病院代など

従業員がいない場合の事業主や家族に対する食事代、慰安旅行、病院代(医療費控除になる)

給料賃金

雇用契約を結んだ従業員に対する給料

従業員に対する給料

本人や家族に対する給料

外注工賃

仕事を手伝ってもらったことへの支払い

雇用契約はなし

外注先への支払い

 

利子割引料

借入金に対して支払った利息

事業資金等の借入金に対して支払った利息

住宅借入金に対する利息

地代家賃

月極や年払いで支払った土地代や家賃

コインパーキングなど時間極は含まない(旅費交通費)

店舗や事務所、駐車場などの家賃

自宅の家賃や駐車場代

貸倒金

一定期間入金がなかった売掛金などを損失にするときの科目

入金されない売掛金や貸付金で一定のもの

 

雑費

上記以外のもろもろの経費 目安は数千円程度

ゴミ袋代、雑誌代など

私的に使った雑多なもの

専従者給与

青色申告している人であらかじめ税務署に専従者として届け出を出して認められた専従者への給与

専従者である配偶者や家族への給料

専従者でない配偶者や家族への給料

 

消耗品費と雑費について

経費の帳簿付けでよく迷うのが、消耗品費と雑費の違いです。実は法律などで明確な規定はされていません。これは勘定科目名より、経費になるかどうかのほうが重要という考え方があるからですが、そのため多くの人が迷います。決め方としては次の方法があります。

 

・金額で決める方法

自分の中で一定の金額の基準を決め、その金額を超えるか超えないかで判断する方法です。

例えば1万円未満なら雑費、1万円を超えると消耗品費という決め方です。

 

・購入した商品によって分ける方法

自分の中でこの商品は消耗品費、この商品は雑費と決め、それを基準に分ける方法です。

例えば、棚なら消耗品費、ごみ袋なら雑費という決め方です。

 

・購入したお店ごとで分ける方法

自分の中で購入したお店ごとに消耗品費か雑費の基準を決め、判断する方法です。

例えばAスーパーの場合は雑費、Bホームセンターの場合は消耗品費という決め方です。

1つのお店で多くの品物を購入し、品物ごとに勘定科目を分けるのに手間がかかる場合

に使います。

 

ポイントは、自分の中で一定のルールを決め、それを毎年継続することです。経費になるかどうかが需要なため、自分でルールを決めても判断しても問題ありません。

 

◆事業と私用の兼用のものは事業の使用分を経費にする

次に何割かを仕事に使っている場合の経費の考え方です。

よくあるのが自宅の一室を仕事場にしているといった、自宅兼仕事場の場合です。水道代や電気代などは、生活にも仕事にも使うと思います。

その場合は、仕事に使っている部分のみ経費にします。

しかし生活用、仕事用ともに一括で支払いをすることが多く、仕事に使っている部分の金額が明確にわからないという場合が多いかと思います。そうした時は次のように計算します。

 

仕事に使っている金額=支払金額×仕事で使っている割合(事業割合)

 

これを家事按分といいます。事業割合の主な例は以下のとおりです。

 

家賃や固定資産税→「面積割」=自宅の総面積の中に仕事場の面積がいくらか

電気代や水道代は→「業務時間」=1日の中でどれだけ業務をしていたか

自家用と仕事用の車→「走行距離」

 

例)

1月の家賃 100,000円を支払った。仕事場の面積 20㎡ 自宅総面積 100㎡ の場合、経費になる金額は、

100,000円×(20㎡/100㎡=20%)=20,000円です。

 

家事按分すれば、様々な費用を経費として計上することができますが、何でもかんでもしていいものでもありません。

事業上必要なもの、必要な範囲であるという根拠は可能な限り説明できるようにしておきましょう

万が一、税務調査の対象となった場合にそこがあいまいだと困ることになります。

 

事業割合については何%であるかをきちんと把握するのは難しいです。

できるのであれば、事業用と私用の線引きを分かりやすくしておくことが望ましいです。

住居であれば仕事用の部屋を決める、共用の部屋であればパーテーションなどで区切りをつけるなどできればいいでしょう。

 

大事なのは、きちんとした証拠に基づいて計算しているということを見せることです。

ですので家事按分をする場合は、1か月~2か月程度統計をとってみるのもいいでしょう。また、その統計結果は保存しておいてください。

 

◆経費の計上時期に気をつけよう!

経費になる・ならないや、勘定科目名、家事案分が決まったら、今度は経費の計上時期に気をつける必要があります。経費に計上する時期は、お金を支払ったときではありません。法律で次のように決まっています。

 

・商品を購入した場合→その商品を受け取ったときに経費にする

・修繕工事などを業者に頼んだ場合→その工事が完成して引き渡しを受けたとき

・保守などのサービスを受けたとき→そのサービスが完了したとき

 

お金の支払いがまだでも、商品を先に受けとっていれば受け取った日に経費にします。この場合の処理方法は次のようになります。

 

例)消耗品1万円をクレジットカードで購入した。翌月になって事業用の通帳から引き落としされた。

 

・「消耗品1万円をクレジットカードで購入した」

このときに経費で処理します。代金は未払いのため「未払金」で処理します。

 

借方勘定科目

金額

貸方勘定科目

金額

摘要

消耗品費

10,000円

未払金

10,000円

消耗品購入

 

・「翌月になって事業用の通帳から代金が引き落とされた」

上記「未払金」を支払った処理をします。

 

借方勘定科目

金額

貸方勘定科目

金額

摘要

未払金

10,000円

普通預金

10,000円

消耗品代支払い

 

また、保守サービスなどのように完了する前にお金を支払っていたとしても、支払い時には経費にせず、サービス完了時に経費にします。この場合の処理方法は次のようになります。

 

例)保守代金1年分2万円を現金で支払った。

 

・「保守代金2万円を現金で支払った」

この時点では、保守サービスが完了していないため経費にできません。そのため一旦「前払金」などで処理します。

 

借方勘定科目

金額

貸方勘定科目

金額

摘要

前払金

20,000円

現金

20,000円

保守代金支払い

 

・「1年後にサービスが完了した」

この時点で初めて経費にします。上記「前払金」を経費にする処理をします。

 

借方勘定科目

金額

貸方勘定科目

金額

摘要

雑費

20,000円

前払金

20,000円

保守代金

 

※借方勘定科目は「支払手数料」など別の科目でもかまいません。

 1年以内の前払いについては支払時に経費にできる場合もあります。

 

◆まとめ

見てきた通り、経費が多いほど税金が少なくなります。しかし、経費を計上するためにはルールがあります。

 

まずその支払いが100%経費になるのか、ならないのかを判断します。

次に、100%経費になるものは該当する勘定科目で帳簿付けします。

支払いの内、何割かが経費になる場合はその「何割」を合理的な計算で求め、その分だけを経費にします。これを「家事案分」といいます。

経費にする金額や勘定科目が決まったら、最後に計上する時期に気を付けます。原則は、商品を受け取ったときやサービスが完了したときです。

決算月に動きがあるものは経費にする年度が違う可能性もあり、それによって納める税金の額が変わります。特に注意してください。

「経費になる金額、勘定科目、計上する時期」この3つに気を付けて、正しく帳簿付けしましょう。