事業を立ち上げたので新しく会計ソフトを導入したい、現状の会計業務がどうも不都合がある。
きっかけは様々ですが、会計ソフトの選択には悩む人も多いのではないでしょうか。
会計処理というものはどんなに大規模な企業であっても中小規模の事業、はたまた個人事業主であっても必須の業務です。
一昔前であれば分厚い帳簿や伝票の束を決算や申告期が来る度に1から全部チェックしていましたが、現在はパソコンに会計ソフトを入れて管理するのが主流です。
日々の金銭の流れを入力しておくことでデータとして蓄積できますので必要な際の計算や出力などの手間がこれまでとは大いに省かれるようになりました。
数千億、数百億といった事業規模、数万、数千人規模の従業員を抱えるような大企業であれば、会計の規模も膨大となりますので会計ソフトもそれ相応の専門のシステムで導入する必要があります。
ですが日本の企業の大部分を占めるのは中小零細企業です。
1億しない程度の資本金、100人まではない従業員数といった企業であれば市販の会計ソフトや会計サービスで十分カバーできます。
また、個人で商売されているような方でも確定申告が必要になります。
これまでは規模が大きくないからと白色申告をしていた人も、平成26年分からは白色申告者もすべて帳簿付けが義務づけられましたので、これを機に会計ソフトを導入された人も多いようです。
会計ソフトもその特色は千差万別、最近は従来のインストールするソフト型に加えてネットワークを利用したクラウド型も増えてきました。
こうした会計ソフトを選ぶ際に注意すべきポイントをあげていきたいと思います。
・新規導入の小規模事業者ならクラウド型がオススメ
・給与や在庫管理。バリエーションや拡張性ならまだソフト型が優位
・費用はソフト型なら基本買い切り+オプション、クラウドは月課金が一般的
・銀行、クレジットの自動取り込みは非常に便利。対応企業に要注意
・決め手は使い勝手。試用版をたくさん使って主観で決めて問題なし
これから詳しく説明していきますが、この点に注目して選んでみてください、自分に合ったソフト探しの役に立つと思います。
また、当サイトでは各会計ソフトを他の人たちが使ってみた感想や選んだ際の決め手のポイントなどを集めていますのでそちらも是非参考にしてください。
さて、現在会計ソフトと一口に言っても様々なものがあります。まずは大部分のソフトに見られる基本的な機能を見ていきましょう。
会計初心者の方でしたらあまりピンとこないかもしれませんが、やはりやりたいことがソフト1つで過不足なくできればもう文句はありません。
すでに会計に携わっている人は現状必要な機能、今できていないけど欲しい機能などをリストアップしてみましょう。
それをもって比較していくとある程度ふるいにかけられますよ。
1件のお金の動きを複数の帳簿に記載しないといけないので、手書きだとケアレスミスで後々に辻褄が合わなくなることもありましたが。会計ソフトであればうまく処理してくれます。
この記帳機能もどんどん便利になってきていて、簿記の経験の少ない人向けに、科目の自動振り分けやサポートの機能があるものもありますし、スキャナーを使って伝票やレシートを読込むと自動的に仕分け登録してくれるものなども増えてきました。
オンラインバンクやクレジットカード情報を登録することでソフトに取り込むことができるといった便利な機能もあります。
法人向けであれば決算書、個人向けであれば青色・白色の確定申告書が作成できます。データが揃ってさえいればこのまま提出できるようなちゃんとしたフォーマットで作成できるものが一般的です。
記帳データから作成されますので、別途集計作業などが必要ありませんので非常に便利です。
どういったレポートが作れるのか、これはソフトによってまちまちだったりします。
経営状況が一目で分かるようなレポート、資金繰りや売掛買掛についてなどの各種レポート・帳票が出力できます。
オールインワンで全部使えたり、グレードアップバージョンやオプション機能の購入や、関連ソフトとの連携が必要だったりと出力できる条件も違ったりしますので、どういったレポートが必要かや追加の購入はいるのかチェックしておきましょう。
会計ソフトというと街の電気屋さんやパソコンショップなどに並んだ大判のパッケージソフトの印象があるかと思います。
「弥生会計」シリーズや「ミロクの簡単会計」シリーズなどが特に有名かと思います。
こうしたパッケージのソフトとは別に急速にシェアを伸ばしている会計ソフトがあります。クラウド会計ソフトです。
導入のコストが下げられることや入力が極力簡易化されていることなどでここ数年非常に人気の会計サービスです。
クラウドというのはインターネットを使ったサービスで、これまでソフトなどは自身のパソコンに導入し、データなども自身で管理所有するようになっていました。
ですがクラウドであればブラウザや、専用のスマートフォンアプリさえ用意できれば、ソフトやデータなどは全て外部で管理できるようになります。
会計ソフトであれば、ソフトの導入に当たって新しいパソコン等の機器の調達や設定、管理などが省けてより簡単に導入できるようになっています。
「freee」や「MFクラウド会計」などが有名です。
ここでクラウド会計のポイント、パッケージソフトの違いをまとめてみました。
先程も述べたようにクラウドはソフトの動作やデータの処理・管理がネットワークを通じて外部で行われるので利用者の事前の機器の調達が最低限で押さえられます。
常にバージョンアップが行われているので税制の変更など新しい法規制に対応したものがすぐに利用することができます。その他細かな操作性の向上や機能追加もすぐ利用できるのはクラウドの強みです。
パッケージソフトであればそのつどアップグレードしていく必要があります。旧バージョンから新バージョンへのデータ移行などが必要だったりと手間がかかることも。
実際、消費税が5%から8%に増税された際に会計ソフトの新規買い替えや、税率修正版の追加購入を行った人も多くいます。
今後消費税率は8%から10%に増税される予定ですのでこの点は大事ですね。
銀行やクレジットのデータ取り込み機能はパッケージソフトにもあります。
ですが、こちらはCSVファイルなどでダウンロードした後手元のソフトに再度読み込ませて処理するのが一般的です。
また、レシートや領収書などはスキャンで読み込ませて登録するなど、極力手入力を省くように設計されています。
クラウドの場合は1件1件を入力していくことより、自動で仕分けされたデータのチェック、間違いを修正していくのがメインになります。
パッケージの場合はソフトの購入代金と、それとは別に年間契約のサポート料が必要になります。
クラウドサービスの場合は使用料・サポート料込みの月額・年額制となっています。
年間でみると法人で2万円前後、個人では1万円程度の利用料になりますので、サポ-ト契約も含めたパッケージソフトの導入と比べると割安となります。
クラウド会計は始めから一定数の複数ユーザーの利用が料金に含まれているものが多いです。パッケージの場合は利用者数分のライセンスを購入しないといけないものが一般的です。
また、クラウドであればネット環境であれば外出先からも端末を選ばずにアクセスが可能です。
クラウドサーバー上にデータがありバックアップも管理されていますので、利用者側にトラブルがあった場合にもデータ消失のリスクが低いです。
以上のような点が主なクラウド会計の特徴になっています。
前項ではクラウド会計ソフトの強みをあげていきました。ですがまだ、新しいサービスですので以下のような点が弱点と言われています。
クラウド会計は極力手入力での作業を省くようにできています。
スマホなどそこまで入力操作に強くない機器での操作を想定していることもあるからですが、
間違いの修正など、どうしても入力作業が必要となった場合にはパッケージソフトに比べると操作性が劣ると言われています。
こちらの点は長く手入力に特化して改善されてきた会計ソフトの方が強いのかもしれません。
・複雑な会計や一部処理についてはまだ機能は限定的
クラウド会計は例えば複数の部門管理といった規模が大きめで複雑な会計処理は得意としていません。
また、販売管理や在庫管理、減価償却費計算や給与計算などの機能も限定的で、まだ他のソフトなどとも連携がとれていない場合もあります。
この他、経営分析資料といった帳票類のバリエーションもパッケージ版のほうがまだ豊富なようです。
販売や在庫管理、給与なども関連ソフトが充実しているのはパッケージ版の方ですし、しっかりと各ソフトとの連携が設計されています。
現在、クラウド会計はまだ個人事業主や小規模企業がおもなターゲットといえるでしょう。
ネットワークに繋がるのであれば場所も端末も選ばずにアクセスできるのがクラウド会計の便利なところです。
ですが、逆にメールアドレスとパスワードがあれば誰でもログイン可能であることを不安視する人もいます。
このように、現状クラウド型とソフト型では一長一短の状態です。
クラウド型もどんどんバージョンアップが進んでいますし、最新版はすぐに利用できますので今後両者の差は埋まってくるのかもしれません。
パッケージソフトとクラウドサービスの特徴を挙げてきました。
パッケージとクラウドでは結構違ってくることが分かるかと思います。
この他の要素で是非ともチェックしておいてほしいポイントを紹介します。
どなたにも言えるだろう最大のチェックポイントはとにかく使いやすさです。
これは利用する人各個人の感覚で構いません。また会計システムは結局は専門的なソフトになりますのでそれぞれの会計経験によっても変わってくると思います。
ある程度知識が始めからある人は取り組みやすいものや、
初心者にとても分かりやすい作りになっているけれど経験者は逆に迷ってしまうようなものなど、
これは実際に使ってみないと分かり辛い点でもあります。
まずは利用する人が分かりやすい画面構成になっているか、
入力や登録の作業が迷わずにできるかがポイントです。
会計ソフトは会計処理を効率化する為に導入するものですから、かえって手間が増えてしまったのでは意味がありませんからね。
個別のサポートは要らないという人には関係のない話ですが、どういったサポートが受けられるのかはしっかりチェックしておきましょう。
パッケージソフトであればソフトとは別に保守契約と言った形でサポートの契約が必要になりますので費用面からも考えてみて下さい。
一般的にどの会計ソフトもメールサポートはしてくれますが、電話サポートまでになるとパッケージソフトに付いてくることが多いです。
チャット形式での個別サポートなんかもあります。
ソフトの操作方法だけでなく、提携している税理士との会計に関する相談などにも対応しているサポートもありますので、
経理初心者のかたは特にチェックしておきましょう。
これはソフトによって全然違ってきますので必要とされている人はしっかりチェックして下さい。
銀行の明細取り込み機能は大変便利な機能です。クラウド会計であればオンラインバンクを登録すれば自動で取り込んでくれますので手間が随分省けます。
ですがこの機能、モノによっては全く対応していないこともあります。
登録可能な金融機関、クレジットカードの数の上限がソフトによって違いますし、
登録できる金融機関やクレジットカード会社も特定1社のみだったりと条件があります。
使い勝手は気に入ったけど利用している銀行が対応していなかったというようなことが無いように忘れずにチェックしておくべきポイントです。
特に複数の金融機関に口座を開いている方は気をつけて下さい。
以上の3点が特に注意して欲しい比較のポイントです。
特に最初の入力のしやすさは実際に触ってみないと何とも言えないポイントです。
ですが、どのソフトも試用期間や無料体験バージョンなどを提供していますので、気になったものはまずは使ってみることをオススメします。
個人事業主であれば導入が比較的簡単なクラウド会計がおすすめで、工場など従業員を複数雇われていて給与計算などもしたいというのであればパッケージ版が無難ですよと言うこともできますが、やっぱり大事なのは利用する人の使いやすさだと思います。
会計ソフトは一度本格的に使いだすと途中で別のソフトに乗り換えるのがなかなか難しいものです。
細かな使い勝手が違ってきますし、これまでのデータの取扱いなどで四苦八苦した方も多いのではないでしょうか。
冒頭にも言いましたが、当サイトでは様々な会計ソフトの口コミを集めてランキングしています。
他の人達の実際に使ってみた感想や選んだ理由などを参考に自身にあった会計ソフトを探してみて下さい。